頭痛

不定期連載 山道をゆく 第141話
03/10/18〜 瑞牆山、勝沼ぶどうトークマラソン
03/10/18〜 瑞牆山(日本百名山、山梨百名山(既出)、庵選千名山250)
【頭痛】

10/18(土)
庵庵−港北IC−玉川IC−用賀IC−千住新橋IC−五反野駅−千住新橋IC
−談合坂SA−韮崎IC−茅ヶ岳広域農道−増富ラジウムライン
−瑞牆山荘駐車場…富士見平…天鳥川出合…瑞牆山…天鳥川出合
…瑞牆山荘駐車場−茅ヶ岳広域農道−R140−勝沼ぶどう郷駅−大菩薩の湯
−山雀荘

10/19(日)
山雀荘−シャトレーゼ駐車場…勝沼中央公園…ぶどうの丘方面
…勝沼中央公園…シャトレーゼ駐車場−嵯峨塩館−大月IC−八王子IC
−八王子駅−八王子バイパス−R16−中原街道−庵庵

−:車、…:歩き・走り

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
今年度の開催は10月19日で、しかも第19回大会のトークマラソンに、大掛かりな仕掛けを期待しつつ社内掲示板にも案内を出すも待ち人来たらず。常習参加者の歩く本能氏は資格試験勉強に、コロビストは仕事に、そして座氏は申し込み締切を逸してしまっていた。座氏は前泊黄葉散策ツアーだけにでも参加し、あわよくばマラソンは当日申込みでゴリ押ししようかとの目論みも、前々日になって急遽緊急業務に見舞われ、そして誰もいなくなった。キャンセル料を覚悟で宿に電話すれば、キャンセルは残念だが手数料は要らないと言う。忝い。其の情は貰った。俺は一人でも行く。未だ踏みも見ずイノブタ鍋を夢見て。
一晩考えて単独イノブタ鍋は絵空事と一蹴されかねないため、傍聴者、共犯者、ギャラリー、呼び名は構わないがイノブタ鍋探索隊結成のため、大学時代の友人に電話を掛けてみると、一応考えてくれるとの返事であった。早速宿のおばちゃんに電話した。あらあら無理しなくてもいいのに、なんてね。
木曜日には社内の歓迎会にて激辛もんじゃを掴んでしまい、金曜日は内臓がイカレポンチ状態であった。ゲーリーが続き、トイレも近い。激辛もんじゃ以前までのメニューは100点満点ではあったが、可也の御釣りを噴射してしまった次第である。そして友人に連絡すると、今晩は飲み会なんで、何か連絡があれば18時までにしてくれとのことである。ピックアップ場所を問えば、自宅近くの路地は狭いため五反野駅まで来てくれれば良いとのことで住所や自宅電話番号情報を聞き損ねてしまったのである。さてさて、、、
土曜日は3時前に起床し、庵庵を発とうとした矢先だった。ETCカードリーダーがエラーを訴えているではないか。赤LEDが点灯している。もう壊れてしまったのか。。。未だ一月しか経過していないのに、、、仕方ない、帰庵後にディラーに問合せるしかないか、けんもほろろなETCの振る舞いに呆れ、現金払いで高速を使うことにした。玉川ICからの環八も午前3時台に渋滞は皆無であった。念のため氏の携帯に連絡するも留守電だ。嫌な予感がしたが、其のまま3号線、環状線、5号線と通過し、千住新橋ICまで辿り着いた。五反野駅までは指呼の間であった。バスターミナルなどの余地はないものの、路肩に停車して電話を掛ける。出ない。昨日飲み会か、、、間違いなく将に今現在の氏の脳髄にはα波が漂っていることであろう。韮崎IC近辺にコンビニの有無を思い出せず、付近のファミリーマートに寄って買出ししては時間を潰して再度電話を掛ける。留守電がバッファーに溜まり過ぎて追加のメッセージを保存出来ないと言う。徐々に堪忍袋の緒が切れつつあった。後15分待とう。瑞牆山の駐車スペースもそんなには広くはなかろう。五反野駅4時の約束も、既に時計の針は4時50分を回っていた。氏の住所も固定電話番号も分からない。後どれだけ待たされるのか。待つだけ待った。やることはやった。ETCカードを入れ直すと、おや、LEDが正常を示す緑色に点灯しているではないか。3時のあれは一体何だったのか。ETCの障害回復に腹は決まった。済まぬ。後から電車ででも来てくれ給え。
息を吹き返したアントニオは、涙を飲んで再び千住新橋ICへ戻り、環状線から今度は4号線に抜け、西へ向けて快走して行った。ピックのために失った2時間への恨めしさと、結局氏を置いて来てしまった後ろめたさを何とか精算しようと思うものの、ややグレー掛かった空は後者に軍配を上げているようで哀しかった。山梨県下に入れば小雨さえパラつく次第である。嗚呼、裏切りの記しか。だが、笹子トンネルを抜けると陽国だった。天候は回復し、寝坊した氏は大損だったと言わざるを得ない日の光を感じながら、中央道を快走した。漸く氏から電話が来た頃には休部号は既に勝沼IC付近を通過していた。当日キャンセルとは傲慢甚だしいものの、あのオバチャンなら何とか処遇してくれるであろう。来るなら勝沼ぶどう郷あたりでピックアップするけど、と問えば、昼頃また連絡をくれると言う。この時点で来るか来ないかをはっきり問い質すべきだったかと思う。だが、あまりの天候の回復振りに、氏には申し訳ないが瑞牆リベンジで頭が一杯になってしまい、すっかり重要事項を忘れてしまっていた。早起きは16文の得だ。瑞牆山、今日こそは笑顔を見せ給え。
案の定、韮崎IC付近にコンビニエンスストアを発見する事無く、茅ヶ岳広域農道に逸れた。前回もバイクで駆け抜けたこのルート、茅ヶ岳の展望道だったのか、、、気持ち良く飛ばし、増富ラジウムラインへと合流する。増富の湯から先は道幅も狭く、スピードを緩めながら通仙峡の黄葉を満喫した。未だ若干7時台、人影は皆無であった。
4年振りの瑞牆山荘付近には、大きな駐車スペースも構えられていた。3割程度の埋まり具合か。陽光が我が決断を後押ししてくれている。4時に駅に居なかった友人のミステークだ。山荘界隈は放射冷却で冷え込んでいた。体感温度は摂氏4.3℃程度であろうか。肌寒かろうがアントニオには光合成があった。勝手知ったる山道を勢い勇んで駆け登る。ふふふ、今日こそは汚名返上だ。ピナクルよ、ガスを退けろ。
富士見平小屋前でも殆ど休憩を摂らず、先を急ぐ。ピナクルが呼んでいる。天鳥川付近で漸く小休止を摂った。若い人も多い。ファミリーも然り。良いことだ。確かにコースタイム4時間台のお気楽百名山ではあるが、今日の天気は彼等の山への好印象を浸透させてくれるに相違ない。
天鳥川を過ぎても先発部隊も多く、皆挙って道を譲ってくれてしまう。アントニオはハイカーでもランナーでもなく、アクターであった。ギャラリーが居る以上、皆が道を譲ってくれる以上、先を急がねばなるまい。アントニオに休息はない。明日のマラソンに向けての最終調整となるのか不明だが、周囲が庵を休ませてはくれないのだ。青空は光合成を助長させ、瞬く間にピナクルを掌握させた。
やがて山頂に到達した。コースタイムの半分を若干1分上回ってしまった。明日のワールドシリーズへは辛くもワイルドカードからの進出が決定した。ただ、振り返れば恐ろしい高速運転であった。高速運転で失ったエネルギーを補って余りある、天望爽快エネルギーが、ピナクルの上に充満していた。4年振りに360°の大展望の挽回に成功した。友人は360°の展望を失った。五丈岩が凛々しく富士を向く。甲斐駒、鳳凰三山、編笠、権現、赤岳、横岳が並ぶ。当然、我が絶壁の向こうには茅ヶ岳、金ヶ岳、小川山、国師ヶ岳、横尾山も映える。微風が我に栄冠を授けてくれた。錦織の絨毯とピナクルの高度感に興奮は止まない。
然し、独占欲を満喫するのも束の間、静寂を啄ばんでは宇宙の彼方に運び去ってしまうエイリアンの襲撃に会い、退却を決めた。下山して勝沼ぶどう郷駅は13時頃としても、場合によっては友人をピックしてから北奥千丈岳への野望が達成出来るだろうと、下りも庵速を極めることにした。擦れ違うエイリアンの数は増した。ただ、今回ばかりは其の構成人員は老若男女の四文字熟語が的を得ている。今日の山の楽しさを皮切りに若い衆の登山欲の飛躍を期待して止まない。
瑞牆山荘にはお世話になったから生麦茶でも所望しようとテラスに腰掛ければ、クレープも手作りでお勧めとのことなので洋梨ものも注文してしまった。生麦茶と甘味の不可思議なコンビネーションも、胃袋に入ってしまえば皆同じ。何と寂しい論理だ。。。
駐車場に戻ればマイクロバスが3台程度も林道へはみ出して停車しており、エイリアンの群れの数だけ車が溢れていた。未だ10時台と言うこともあり、今から登り出す者も居る。頑張れ。もう静寂は残っていないが。
通仙峡には紅葉狩人がちらほらと見受けられる。瑞牆山の其れより黄色は鮮明である。増富ラジウムラインにはサンデードライバーも多く、危なっかしい車が目立つ。自分等だけの車道ではないことを肝に銘じろ。周囲を良く見ろ。
広域農道を過ぎ、甲府市街地へと休部号を進めるに連れ、連絡のつかない友人にまた憤りを感じ始めた。宿には最終的には2人と申告したままだ。来るのか来ないのか。此方から掛けても留守電バッファーは満杯だ。断るならもっと早目に連絡を入れて然るべきだろう。そんな矢先、氏から電話が来た。勝沼ぶどう郷駅で待っていると言う。おぉ、そうか。せめて2時間程度の山歩きでもとは思ったものの、どんより曇り空、小雨すらぱらついてきたため、午後は温泉でお終いになってしまうかも知れないが、是で漸く宿のオバチャンへのメンツも立つことに安堵して駅へ急いだ。勝手知ったる勝沼町界隈だが、斜面の影響で道は碁盤目状どころか偉く湾曲しており、幾度も遠回りをさせられたものの、地図は不要であった。
雨の滴る勝沼ぶどう郷駅には幾重の観光客に混じって友人が読書に耽っていた。氏も業務続きで休日返上が続いていたようで、今日は存分骨休みをしたいとのことであった。雨の中の2時間ハイクはキャンセルし、取り急ぎ飯でも食おうと、ぶどうの丘へと休部号を走らせた。果たして、雨中のぶどうの丘には五万と観光客が集り、駐車待ち行列に並ぶ気も失せ、JR提供のクーポンで入場料が半額になる大菩薩の湯へと休部号を走らせた。併設食堂で何か食わせて貰えるだろう。600円の所、村民料金と同じ300円なのだ。銭湯並みの料金だ。JR、天晴れ。何時もより時間を掛けて温泉を楽しむ。露天も温くて心地良い。惜しむらくは併設食堂には地場物が皆無のようで、何処にでも転がっているメニューしか並んでいなかったのだが、其れは晩飯で大逆転するためには良い布石となることだろう。打たせて取れ、なのだ。
時間もあるし、地図も確認せずに国道ではない脇道を転がした。このような機会でなければ生涯目にすることはなかろう風景に溶け込み、三富村を目指す。小さな民宿だから、看板すら出ていない可能性に不安が過ぎる。民宿街が近付くに連れ減速して目を凝らしながら宿を探した。周囲の民宿との連名看板を目聡く見つけ、小道に逸れれば、おぉ、既に先客と思しき2台の横浜ナンバー車が玄関前に並んでいた。すると、道路側の1台からドライバーが降りて来て、「入るんですか?」と聞く。即ち、其の車は民宿の親類あたりの物と言うことか。後々聞けば、もう一台も関係車両であり、山梨県三富村の民宿に横浜ナンバー車が3台も並ぶ異様な光景だった。
民宿のアコモデーションは予想通りで民家の大部屋に通され、黄葉シーズンにも拘らずまた我々の貸切状態であった。5時半頃には夕飯の支度が出来ていた。山小屋の乗りだ。悪くはない。20畳近くのまた別の広間に若干2名分の食事が並んでいた。うどのぬた、とろろ芋、刺身蒟蒻、鮎の塩焼き、各種山菜の天麩羅に、4,5人前くらいの量はあろうイノブタ鍋に、今日も抱腹絶倒せざるを得なかった。鍋に入れてくれと、手打ちのうどんまで揃えられていた。そう、手打ちうどんと言えば、我々某工業大学柔道部の学園祭を思い出す。初日は何時茹で上がるか皆目検討が付かぬ程の極太乱切り麺にも拘らず、例年通りOBには1杯1万円で売り付けると言う世界一のヤクザな商売振りだった。学園祭は決まって日本シリーズと日程が重なっていた。そうか、今頃大岡山ではまたヤクザな商売が横行している頃だろうか。懐かしいあの時の味の再現であった。うちらが作っても、おばちゃんが打っても味はあまり変わらないように思う。瓶麦茶は頼めば出して貰えたのかも知れないが、食事の量に注文する余裕すら奪われていた。特に友人は運動もしなかったため胃のキャパシティも少ないようで、決死の覚悟で余す所なく残りを平らげざるを得なかった。オバチャン有難う。僕は完食したよ。ふぅ〜
重い胃を引き摺りながら部屋に戻る。食後は風呂に入ってはテレビで日本シリーズ観戦と、平和な日本の晩を過ごすことが出来た。他に何もすることがない。何もしなければ良い。
三富村の朝晩は冷え込んだ。マラソン出走のため早めの朝食を希望しており、7時頃にはゴングが鳴った。残念ながら納豆はなかったものの、今朝も日本の食卓であった。御飯が進む。由緒正しき日本の朝飯だ。箸が唸る。今日も元気だ、朝っぱらから胃が重い。
食後、支度をして8時過ぎには辞去を決めた。そう、電話予約時も聞かずにいた「山雀荘」の読み方だが、オバチャンに聞けば、「やますずめそう」でも「さんじゃくそう」でもないと言う。雀なのに何故○○○と読ませるのか。へぇ〜。蒟蒻のお土産も頂き、食糧を大量摂取した暁に1人1泊5,800-であった。三富村の民宿は偉大だ。非常にコストパフォーマンスに優れたベースキャンプであった。この安さならまた訪れたい。皆もイノブタ鍋を堪能しに来て欲しい。
今朝も魔が差して国道を外れて勝沼へと下って行った。目の前には富士山がデーーーーンと構えていた!爽快だ!其れだけ鮮やかだと参ってしまう。昨日午後の雨の憂さを晴らす好天だ。然し、雨後の好天大会のトラップを、既に忘れてしまっていた。
今回の駐車場は、庵がこの大会に初めて参加した時と同じシャトレーゼであった。あ、其の当時にはシャトレーゼは存在しなかった筈だ。昨年歩く本能氏がシャトレーゼの駐車権利を占めたのも、10kmコースにエントリーしていたためだろうか。取り急ぎ友人の当日参加申込が認められるか、大会会場へと急ぐ。受付から本部へと促されたものの、役員側は果たして首を縦には振らなかった。保険の関係もあるのだろう。致し方ない。友人には会場で適当に読書、葡萄荒し、ワイン荒しに勤しんで貰うしかなかった。走後は当然ワインでなく生ビールが必要なので、生ビールの入手先調査も抜かりなく依頼しておいた。
そして、蘇って来たゲーリー。風邪。食い過ぎ。昨日の腸子は回復して頗る良かったものの、この大会には不可避なのであろうか。然し、避けては通れぬ無料葡萄配布とワイン配布である。今年は葡萄配布規制が施行され、各コースの終了後頃の時間帯のみにしか配布されないと言う。昨年までの大盤振舞いが祟ったのか。冷夏で葡萄の収穫が落ち込んだためか。然しながら3.5kmファミリーの部の選手達がゴールラインを通過する頃、紛う事無く配布所の列に並んでいた。10kmコース選手の集合時刻まであと僅かである。種有り葡萄を秒速で処分し、其の前にご多聞に漏れずワインも1杯所望し、スタートラインへ挑んだ。
体調は50%程度であろうか。体調万全で望むための前日山梨入りはイノブタ鍋食材が重く圧し掛かった胃と言う副産物を醸造してしまった。重い。スタートライン近辺には緊張感が漂う。屈伸する余地もなく、お約束のように寸止めエルボーの素振りで準備運動代わりとするしかなかった。全く準備運動にはなってはいなかったのだが。走行中に下しさえしなければ今日は万々歳だ。勝沼の10kmコースは胃重から脱出への旅が待っている。
ゴングが鳴った。悪くない立ち上がりである。キロ当たり4分台前半で攻められている。2,3km程度快走すると、アテネが、ワールドチャンピオンが、ちらほらと見え隠れし始めた。ひょっとすると、目覚しい記録が生まれてしまうかも知れない。然し---
雨後の翌日は、高温に成りがちだ。数年前の台風一過時には日照と高温でランナーが次々と倒れて救急車が足りなくなり、民間車出動を余儀なくされた壮絶な大会となった。今日も可也蒸し暑い。ぶどうの丘方面への斜面が、何時もなら我に味方をしてくれる筈なのだが、今日はペースが上がらないのだ。バテか。生憎バナナも既に消費してしまっていた。光合成をするにはフィットンチッドが不足していた。みるみるうちに失速し、アテネへの夢が徐々に遠退いてきた。3回まで3者凡退が続いたが如く。当然だ。だいたい、此処2ヶ月でまともに走り込んだのは3,4回程度でしかないのだ。粗毎週敢行していた高地トレーニングは筋肉の収縮頻度の訓練不足で何の役にも立たなかった。努力もしないでソコソコの記録を出すことに意義があるのだろうか。粗歩速程度までに落ちぶれながら坂を登り切り、間も無く大腸破りの下り坂である。速度を回復して疾走した。銀月も営業していた。あの時は有難う。然しバテは否めない。胃は重い。3km地点までの貯金を使い果たし、キロ5分オーバーの水際を彷徨っていた。アテネも大分遠退いてしまった。失策で既に4点ぐらいリードを許してしまったかのようだ。2年前の20kmの時は、後半にもエネルギーが沸き出でてきたのだが、矢張り練習不足が原因だろう。10kmを侮る莫れ。20kmを笑ったものの、10kmに泣く。暑いなぁ。
長い長い道程だった。ゴール寸前で待ち構えていた友人に、「ビールはあそこ(の店)!」と叫んで指差した。名前は菜果園だったと思う。勝沼中央公園の至近にありながら、ぶどう汁の町の中に際立つ麦汁のサービス。走った後は麦汁は必至だ。手元の時計では49分を越えてしまっていた。10kmコースの正式距離程は9.89kmであるから、可也微妙だ。練習をせずに是だけの結果を出したことは全く賞賛に値せず、練習を重ねた後の記録向上の可能性に惜念を覚えるしかなかった。しかも頭痛に襲われていた。熱射病だろう。暑かった。何年振りの熱射病だろう。余りの痛さに懐かしささえ感じる、弱きアントニオが居た。平凡な記録だった。頭が痛い。
だが、人生苦痛ばかりではない。六あれば九あり。
靴下、当選!!!
出走前にマラソンツアー会社のテントに寄ってアンケートに応募したら、懸賞に当選していたのだ。素晴らしい。是で公正競争規約に則れば、ホノルルマラソンツアーには当選権利が失われるであろうし、抽選会まで後1時間も時間を潰すのは渋滞を待つようなものであるから、深青のダイヤモンドヘッドビーチへの未練を涙を飲んで断ち切り、勝沼中央公園を辞去した。この大会を迎えるまでの処遇を振り返れば、自分の成果は阪本園の葡萄詰め合わせセットのお土産授与には全く値しないと感じ、手持ち無沙汰のまま勝沼の町を去ることにした。俺には既に昨日大菩薩の湯で買った手作り味噌と生姜の溜まり漬け、其れにばっちゃんの蒟蒻があるのだ。
さて、汗を流しに何処に行こうか。ビールの保証された天目山温泉か、ハタマタ木桶に安らぎを求めて嵯峨塩鉱泉か。座氏とは嵯峨塩鉱泉泊を試みたものの満室で却下された因縁もあるので、鉱泉の扉を再び叩いてみるとするか。
昨年は死んだ鯉が浮かんでいて気味悪さを覚えた玄関前の池に、今日は生きた鯉さえも確認出来なかった。500円を払って奥座敷へ向かう。無念とは言え疲労した筋肉を癒すには十分な木桶の香りと露天からの鮮やかな紅葉であった。湯上りに、前回は扉が閉まっていたであろう、囲炉裏の談話室に赴く。やや、や、あるではないか!昨年は気が付かなかった。。。若しくは昨年訪れた時以降に設置されたのか、缶ビールを含む飲料の自販機が存在したのだ。自販機は玄関に背を向けて突っ立っていた。丸で我々に感付かれるのを憚るかのように、、、やれば出来るではないか。斯くして鉱泉の価値はぐぐんとアップした。生麦茶まで後一歩だ。更なる営業努力に期待したい。
天目山から嵯峨塩鉱泉に掛けての沿道の黄葉も華々しく、訪れる者も多いのだが、対向車の存在を無視するかのようなスピードに暫し冷ッとさせられた。貴方だけの道路ではないのだ。もう少し状況を考えたスピードと言うものがあるだろう。以後、あの渋滞には巻き込まれまいと大月ICへ急げば、小仏トンネルからの渋滞はゼロでは無いにしろ、僅か3km程度の低速運転で済んだ。八王子駅で友人を降ろし、未だ夕方渋滞を知らぬR16を駆け抜けて、複雑な勝沼行きを終えた。
(完)

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付録:

山旅アドバイス
・瑞牆山荘近辺に大駐車場整備される。でも、紅葉シーズンは満車に
なり易い。